石倉 裕之石倉 裕之
石倉 裕之石倉 裕之
プロジェクトの概要と現在の仕事内容
新食感の生パスタ麺で、レストランと製麺所とお客様を繋ぎ、新しい市場を創造する

人気のイタリアン「サローネグループ」と共同開発した、新しいジャンルのパスタ麺「パスタフレスカ」。弾力があり、噛むほどに小麦の風味が増す食感がお客様の好評を得て、都内を中心に取扱い店舗が増えている。このパスタ麺のために当社が開発した小麦粉が「ファリーナ ダ サローネ」。ゆで伸びがしにくく、時間が経っても食感が変わらないといった機能性も兼ね揃えた製品だ。今回、この「パスタフレスカ」を市場に根付かせるプロジェクトの中心人物の一人である東京営業部の石倉に、話を聞いた。

プロジェクトの背景と役割

「パスタフレスカ」とは、どんなパスタ麺でしょうか?
「パスタフレスカ」とは、イタリア語で生パスタという意味です。こちらは国内でよく見られるもちもちとした食感のいわゆる生パスタとは一線を画す食感の生パスタです。そのため、これまでの生パスタとの差別化を行うために敢えて「パスタフレスカ」と呼んでいます。
生麺(生パスタ)はソースともよく絡み、ゆで時間も短いのですが、くっつきやすかったり時間の経過とともに伸びてしまったりというデメリットもありました。一方、乾麺は、弾力があり伸びづらいですが、ゆで時間が長い。「パスタフレスカ」は、弾力があって歯切れが良いのに、時間が経っても麺の美味しさが持続し、ゆで時間も短い新しいパスタ麺です。従来の生麺と乾麺の真ん中にあるというイメージですね。
「パスタフレスカ」用の小麦粉を作ることになったきっかけを教えてください。
「サローネグループ」の総料理長である樋口敬洋氏が、イタリアで修行していた頃に扱っていたパスタの食感が非常に印象に残っていて、同じものを日本でも探していたんです。そんな時、とあるラーメン屋のつけ麺を食べたところ、麺の食感が本場のパスタにとても似ていることに気づいたそうです。そこから、方々にヒアリングしていく中で、過去に当社がつけ麺のトレンドを作るためにつけ麺専用粉「傾奇者」を開発したという経緯を知り、「パスタフレスカ」用の小麦粉も開発しようと話をいただきました。過去の経験が新しい食文化の創造につながって、まさに当社ならではの取組みだと思います。
プロジェクトの中での役割について教えてください。
主に、「パスタフレスカ」のために開発された小麦粉「ファリーナ ダ サローネ」のブランディングや拡販を担当しています。入社2年目の頃に、ちょうど「パスタフレスカ」の開発が進み拡販していくという段階で、同じ部署の上司から声をかけてもらい、プロジェクトに加わったのがきっかけです。「パスタフレスカ」の認知度を上げてより多くの人に知ってもらえるように、イタリアンレストランのシェフに食べてもらったり、製麺会社と一緒にレストランへ営業にまわったりして意見をもらっています。まずはあらゆるお客様に食べてもらうことで、今後も市場の拡大に繋げていきたいと考えています。
プロジェクト2プロジェクト2

プロジェクトでの取り組みについて

どのように新しい小麦粉をの開発したのでしょうか?
今回の「パスタフレスカ」では特に、お客様が食べた時の「食感の良さ」と製麺会社にとっての「製造のしやすさ」が特長です。 これまでの日本の生パスタ麺は、小麦粉の粒子が粗いために、弾力が落ちやすく伸びているような食感に感じやすい点がありました。一方「ファリーナ ダ サローネ」は、より理想の食感を目指すため粒子の細かい小麦粉を配合しています。また、日本のパスタ麺の多くは、押し出し方式の製麺機で作られますが、イタリアでは、上から強い圧力をかけ、生地を伸ばして製麺するロール式も広く使われているんです。そこで「ファリーナ ダ サローネ」は、本場イタリアのようにロール式製麺機で扱える小麦粉を目指して設計しました。実は、ロール式製麺機というのは日本全国の製麺所で使用されている機械なんです。「ファリーナ ダ サローネ」を使えば製麺所でもパスタを扱えるので、画期的な取組みといえます。競争の激しい製麺業界にとって新たな市場創造となれば、また、より多くの方作って頂くことによって、この「パスタフレスカ」の美味しさをより多くのシェフに届けられたらという思いもあります。
反響はいかがでしたか?
非常に良い反響をもらっています。展示会に出展した際、100店程のイタリアンシェフにその場で試食してもらいました。そこで実際にお話しを聞いてみると、従来の生パスタは強いソースに合わせた時、麺がへたってしまい負けてしまうという欠点があったので、生パスタを使用したくても、お店では乾麺を使っているというシェフが多かったのです。でも、「パスタフレスカ」なら小麦の風味もあり、食感もしっかりしているため、味の濃いどんなソースにも合わせられると大変好評をいただきました。その場で「是非、この商品を使いたい!」と言ってくれる方も多くいて、より一層この美味しさを広げていきたいという気持ちが強くなりましたね。最近では、サローネグループ以外でも取り扱いのあるレストランが増えてきています。お店で友人と一緒に食べた際に、「このパスタ美味しいね」と言ってもらえた時はすごくうれしかったですね。
プロジェクト2
現在、プロジェクトはどのように展開していますか?
本場イタリアでは、製麺所とシェフが相談しながらカスタムメイドのパスタを作るという文化がありますが、日本のイタリアン業界にはまだそこまでの関係性が根付いていないのが現状です。なので、継続してブランディング活動を行いこの「パスタフレスカ」を広めていくことで、パスタ麺を作れる製麺所を増やしていきたいと考えています。日本のラーメン業界では、料理人が製麺所に食感や形状などの希望を伝え、オリジナルの麺を注文することが多く、強い関係性がありますが、イタリアン業界ではまだまだです。この「パスタフレスカ」が広まることで、製麺所とイタリアンレストランの距離をより縮めていくことができるように、今後も展開していきたいと思っています。
「パスタフレスカ」をブランディングしていく上での課題はありますか?
いくらイタリアンシェフに気に入ってもらっても、製麺所が「ファリーナ ダ サローネ」を使って「パスタフレスカ」を作ってくれなければ、その先には繋がりません。製麺所とイタリアンシェフを繋いで、強い関係性を作ることが課題です。中華麺と同じ製麺機を使って「パスタフレスカ」を作ることは、製麺所にとっても販路が広がり新しく市場を広げられてメリットがあります。私たちの仕事は、小麦粉を作って売るということだけではありません。イタリアンシェフと製麺所両方のニーズを汲み取り、関係性を築くとともに、業界の発展に繋げていくことも大切な仕事であると思っています。そこが難しさでもあり、面白さでもありますね。
プロジェクト2

改めて感じる、日清製粉の魅力

このプロジェクトでどんな成長がありましたか?
このプロジェクトに関わるようになってから、朝昼晩パスタとか、パスタしか食べない時期もありました(笑)。自分が実際に食べることが一番勉強になりますし、知らないと提案もできません。様々なレストランのパスタを食べる中で、今まで以上に食感や風味にこだわるようになりました。また、お客様がレストランでどんなふうに食べているか、どういうものが好まれるかなど、消費者目線を意識できるようにもなりました。当社の営業として、パスタを最終的に食べる消費者の目線を大切にすることで、より多くの人に美味しいと喜んでいただけるものが提案できるようになったのではないかと思います。
このプロジェクトを通して、改めて感じた日清製粉の魅力は何ですか?
普段はパン屋さんや製麺所への営業を中心に担当しています。入社して2年目で、今回のような大きな案件に関わらせてもらって、非常にやりがいを感じています。「パスタフレスカ」を広げるための活動も、自分が中心とになって動けていますし、やりたいことを形にできることに面白さを感じています。もともと食べることが好きで、食品メーカーへ入社しましたが、。自分が美味しいと思ったものを他の人も美味しいと言ってくれることがなによりうれしいです。今回のプロジェクトもそうですが、自分で新たにものを作って、大規模に広めていくことができる環境があるのが、当社の魅力ではないかと思います。
プロジェクト2プロジェクト2

プロジェクトの未来と今後の目標

今後のプロジェクトの展望や個人の目標などを教えてください。
業界全体に、これまでの生麺や乾燥麺とは異なる「パスタフレスカ」という新ジャンルを広げ、新しい食文化を作っていくことが目標です。まずは知ってもらうこと、とにかく食べてもらう機会を増やしたいです。売上は、その後についてくるものだと思っています。東京を中心に発信し、それを全国に広めていきたいですね。
プロジェクト2