雫内 里美雫内 里美
雫内 里美雫内 里美
プロジェクトの概要と現在の仕事内容
前例のない通販事業の
立ち上げに、
研究開発での経験を
活かして挑む。

高齢化が進むにつれ、社会では健康維持や疾病予防の意識が高まっている。健康食品や医薬品原薬などの研究開発と製造を手掛ける日清ファルマでは、販売チャネルの充実による消費者へのさらなる貢献を目指して2011年に通信販売事業を立ち上げるプロジェクトが始まった。初めての本格的な通販事業で最初に販売することとなった製品は、大腸の健康をサポートするサプリメント「ビフィコロン」。消費者の興味を惹き、長期にわたる定期購入を促進するために必要なことは何か。研究職、開発職を経てプロジェクトメンバーとなった雫内は、分析をもとに戦略を練り、工夫を重ねた。

プロジェクトの背景と当時の役割

日清ファルマが通販事業を開始したのはいつですか。
インターネットと電話による通販事業を本格的に開始したのは、2012年5月です。ビフィズス菌サプリメント「ビフィコロン」の販売でした。ただ、実は5年前にも通販事業としてダイエット商品の販売を試みたことがあるのですが、その時は思うように事業が進まなかったのです。問屋や小売店を介さず直接お客様に製品を販売する形態は、日清製粉グループ内でもあまり前例がなく、ノウハウが不足していたことが原因でした。そういった経緯もあり、今回のプロジェクトは必ず成功させたい再挑戦でした。
今回のプロジェクトでは、どのような役割を担ったのですか。
主に販売促進です。お客様がビフィコロンを続けたくなるような販売の仕組みづくりや商品パンフ、その他ツール制作を行いました。また、インターネット通販サイトやコールセンターの稼働に向けた準備や体制作り、また「ビフィコロン」の発売を告知する広告の戦略策定にも関わりました。健康食品に関心のあるお客様は高齢者が多く、電話での注文を好む傾向があるため、コールセンターは欠かせないチャネルと判断しました。また、今回は社外のコンサルタントや通販に精通した広告代理店にも協力を求め、綿密に販売戦略を練りました。
過去の経験をふまえて、意識したことはありましたか。
製品の魅力を一方的にお客様にアピールするだけでは、購買には繋がりません。「ビフィコロン」がお客様の手元に届くまでのストーリーを具体的に想像し、必要な情報やツールを精査することを意識しました。お客様は、どうしたら通販サイトにアクセスしてくれるか。注文専用ダイヤルに電話をしてくれるか。そのことばかりを考え続けていたので、発売開始と同時にコールセンターの電話が一斉に鳴り始めた時には、心からほっとしました。その日は社長も一緒になってみんなで喜んだのを覚えています。
当時を振り返ってどんなことが印象に残っていますか。
育児と仕事を両立するために奮闘したことですね。「ビフィコロン」の発売を間近に控え、とにかく「時間がない!」という焦りがありました。ちょうどその頃、子どもはまだ2歳になったばかり。会議を早めの時間に調整してもらったり、育児のために勤務時間も限られている中で、社内外の関係メンバーに様々な配慮をしてもらい、何とか育児と仕事を両立させることができました。今でもメンバーには感謝しています。
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発売後から現在までの仕事

その後はどのようにプロジェクトに関わってきましたか
CRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる、お客様との関係づくりに広く取り組んでいます。「ビフィコロン」は即効性を求める医薬品ではなく、大腸の状態を整えて健康を維持していく製品ですから、継続してお使いいただくことが大切です。例えば「約14日分のお試し品」をご購入いただいた新規のお客様に対して「どのようなアプローチをすれば定期購入の申し込みに繋がるか」や「定期購入の継続のためにはどのような工夫をすればよいのか」など、市場調査を交えながら消費者の動向を分析し、広告のコンセプトやツールづくりに反映させています。
消費者の反応はいかがですか。
新規のお客様の定期購入への「移行率」も、定期購入者の「維持率」も、順調に推移しています。定量データだけに頼らず、座談会を開いて購入者の声を聞くなど、お客様のニーズを積極的に取り入れる工夫をしてきた成果だと思っています。大腸と健康の関わりを理解しているお客様が思いのほか少ないと知ってからは、必ずお客様の目に止まるよう商品発送用の箱に大腸に関する説明を印刷することにしました。また、楽しみながら続けていただく工夫として「飲み忘れチェックシート」も制作しました。飲み忘れによりサプリメントが余り、購入を休止するお客様が多かったのです。広告やツール類を改善すればするほどお客様の反応が数値として表れるので、うれしいですね。
仕事をするうえで心掛けていることはありますか。
社外の協力企業を含め、このプロジェクトに関わる方々と一つのチームとして目標に向かうことです。広告代理店やコールセンターの担当者とは、定期会合で「今月の売上額」「定期購買への移行率」などを共有しています。他業種ならではのアイデアや視点から学ぶことも多いですし、共に課題解決に取り組む頼もしいパートナーです。チームの信頼関係をいかにこのプロジェクトに活かし、力に変えていくかということを常に考えています。
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改めて感じる、日清ファルマの魅力

このプロジェクトを通じて感じた日清ファルマらしさとは何でしょうか。
通販事業を含め、まだまだ試行錯誤を重ねているプロジェクトも多く、正攻法や正解のない中、各自が主体的に仕事を進めています。各部署や職種の垣根が低いので、幅広い仕事に関わることができますし、アイデアがあれば新プロジェクトを立ち上げることもできるでしょう。気心の知れた同僚や上司と一緒に、大きなやりがいを感じながら仕事ができます。
これまでのキャリアで、ターニングポイントはありましたか。
研究職として入社して3年目に開発部署に異動し、ダイエット食品の開発に関わったことです。「商品開発って楽しい!」と思うようになりました。入社当初は「もし研究ができなかったら会社を辞めて大学に戻ろう」とまで考えていたので、自分の心境が変化し始めていることに気づいたときには驚きました。 ですから、通販事業のプロジェクトに参加することになったのも自然な流れでした。広告出稿後のレスポンス率や定期移行率など、お客様の動向が数値としてはっきりと表れます。施策の結果が出なければ、論理的に原因を分析して他の方法を試みます。この事業には、研究と共通することが多いのです。これまでに、研究、開発から製品をお客様に届けるまでの一連の業務に幅広く関わることができたことで、自分の視野と可能性が広がったと感じています。
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プロジェクトの未来、今後の目標

今後、このプロジェクトで目指していることは何でしょうか。
お客様一人あたりの購入金額を上げるのが目標です。「ビフィコロン」以外にも製品がありますので、それらをどう連動させて購入したいと思ってもらえるかが課題だと思っています。現在このプロジェクトを進めている社内の専任メンバーは少ないのですが、少人数でもコストをかけず、大きな利益を上げる可能性を秘めているのが通販事業の魅力でもありますから、将来的には日清ファルマの柱の一つとなる事業に成長させたいですね。
雫内さんご自身が目標にしていることは何ですか?
お客様に本当に役立つ製品や情報を届けることにこだわり続けたいです。例えば当社が特許を取得した「ビフィコロン」に使われている二層構造のカプセルは、ビフィズス菌を確実に大腸に届けることにこだわって生まれた技術。自分が心から「いいな」と思える製品だからこそ、自信を持ってその魅力を伝えたい、販売したい、という熱意が生まれます。今後関わっていく商品開発や通販事業においても、その気持ちは同じです。
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