川端 克佳川端 克佳
川端 克佳川端 克佳
プロジェクトの概要と現在の仕事内容
大きな勝利を
呼び込んだ
エンジニアの人間力、
その源とは。

食品関連をはじめ、薬品やエレクトロニクスまで、国内外のプラント建設で卓越した技術力を発揮している日清エンジニアリング。プラント設計においては、お客様のニーズをヒアリングする「営業力」、他社にないアイデアをカタチにする「設計力」、受注から施工を取り仕切る「マネジメント力」などのすべてを兼ね備えたプロジェクトリーダーの存在が欠かせない。今回は、それまで日清エンジニアリングと取引がなかった工場の化学プラントの競合コンペを、数々のプラント建設の経験を活かし、勝ち取ったプロジェクトリーダーの川端に、当時の想いを語ってもらった。日清エンジニアリングだからこそ成し得たプロジェクト成功の秘密、そして人間力豊かな人材育成の秘密とは。

プロジェクトの背景と当時の役割

まずはじめに、このプロジェクトが始まった背景と当時の役割について教えてください。
このプロジェクトの内容は新規のプラント建設ではなく、製造手法の変更に伴うプラントのリニューアルでした。というのも、危険物を取り扱う化学プラントでは、設備の構造や設置場所などは、安全を確保するために法令で定められています。そして、今回は危険物を取り扱う化学プラントへの変更だった為、機器やレイアウトも変更しなければならなかったのです。しかし、リニューアルといっても簡単なものではなく、日々の製造業務を安全に遂行できるよう、建物や電気関係の仕様を大幅に変更しなければなりません。そこで、危険物の取り扱いや設計プランニングまで幅広い知識と実績を持つ日清エンジニアリングに競合プレゼンテーションの依頼が来たのです。当時は電気系を取り纏める実担当者として参画しました。
新規のお客様を得るチャンスですが、プレッシャーもありましたか?
危険物を取り扱う化学プラント関係の仕事についての、色々な経験と知見やノウハウを持っていましたので、最初からやる気満々でした。日清エンジニアリングでは入社直後からどんどん現場で経験を積ませて教育する環境があったので、当時はまだ入社10年目くらいでしたが自信はありました。
プロジェクト6

受注までの道のり、提案のポイント

競合プレゼンに挑むわけですが、実際の仕事の流れを教えてください。
まずは、打ち合わせをして、お客様の要望をヒアリングします。出来上がりの仕様や、「こんな風になると便利だ」というコアニーズを聞き出すことが大切です。そこから先はすべて私たちで調査をして、提案プランを練っていきます。この段階のメンバーは、機械系、電気系それぞれが経験豊富な強みを持つ社員などの精鋭6人ほど。設計や見積りも自分自身で行うので、まさにプロジェクトに関わるあらゆることに携わることになります。
実際に受注まではどの様なメンバーで行うのですか?
昔は営業→見積→設計→施工→試運転を担当者一人で行う事も多かったですが、現在は各々が効率よく能力を最大限に発揮できる様に、受注までを営業部が中心になり各メンバーを取り纏め、受注後はエンジニアリング事業部が実行する体制になっております。もちろん営業部員も各分野の百戦錬磨のつわもの技術者です。そのチームの中で電気計装設備について調査~見積~提案の全般を担当しますが、電気計装設備と言っても様々な事を行います。計測を行う機器(計装機器)の選定、自動制御機器のシステム設計、特に重要なのが製造仕様に合わせたオペレータの運用視点に立った操作方法のプランニングや提案等があります。日清製粉グループには色々な分野の製造部門もあり、関連部門と連携した専門的なユーザー視点の提案等も行えることは日清エンジニアリングの強みでもあります。
少人数で様々な役割をこなすメリットはどんなことでしょうか?
お客様にとっては、営業段階からダイレクトに具体的な話がまとめてできる技術者の存在は心強いと思います。他社の場合、営業はこの人、受注後は各分野別の担当者が何人も来て都度打ち合わせをするというパターンが多いですが、各分野の繋がり等は問題がないのか、お客様も不安だと思います。
最初の打ち合わせのあとの流れを教えてください。
全く初めて関わるプラントですから、そのプラントの仕様、どんな設備がどこに設置されているのかを知るための初期調査を行います。使用している計装機器、操作仕様などの調査から、全体のシステムを想像し調べていきます。その想像力が非常に重要で経験が左右します。加えて、その調査では設備機器だけではなく、それらを動かすための制御システムまで細かくチェックしましたね。そうして初期調査を終えて、ようやく提案プランの作成に入っていきます。
提案プランの作成において、心掛けたことはありますか??
提案のポイントは、将来を見据えたプラントづくりでした。今回のお客様の要望には入っていませんでしたが、そのプラントでは製造ラインを管理できるシステムが充実していなかったので、まずはその必要性を提案することにしました。製造管理システムの構築には当然コストがかかりますが、予算の関係で今すぐ導入できなくても、後々導入しやすい設計にしておくことを提案しました。もちろん、お客様は費用や体制、実績など、総合的に判断してパートナーを選ぶのですが、この付加価値をつけたアイデアもお客様には好評だったようです。そうして私たちはコンペに勝ち、受注することができました。
プロジェクト6プロジェクト6

受注後の流れ、苦労、達成感について

無事に受注を決めた後は、どんな進行になるのでしょう?
受注が決定したら、いよいよ細かな仕様の決定をしていきます。それには再度調査が必要です。今度は、実際に各機械を納入してくれるメーカーの担当者とともに詳細に見ていきます。そのメーカー選びも私と購買部との協力の元に選定を行います。購買部も元々は第一線の技術者として現場経験を持ったプロ集団であり、その両者で選定していきますので、より優れたパートナーと組むことができます。
施工が始まった後、川端さんはどのようなポジションに就いたのですか?
電気全般のプロジェクトリーダーとしていろいろな設計プランニングを行いました。化学プラントだと特殊な工事が多く、危険物を取り扱う製造現場にするためには、特殊な計器仕様や工事仕様、様々な法規がありますので、これらをしっかり理解し確実に実現できるような設計・施工管理をする必要があります。
施工段階での一番の苦労は何でしたか?
詳細調査は大変苦労しました。既設の基本仕様については、詳しい情報を入手することができず、一から自分たちで調査していったのです。実は、当時そのプラントを管理していた会社には情報はありましたが、ここで頼るとその後も管理において頼らざるを得なくなる。私たちはこの化学プラントのリニューアルを契機にお客様と長くお付き合いし、自社で責任を持って対応していきたいと考えていたので、ゼロから丁寧に一つひとつ自分たちの目、耳、手で調査し設計していきました。そして、いよいよ施工開始。私は何度も現場に足を運び、工事の施工状況や進捗の確認に注力しました。
逆に一番の達成感を得た瞬間は。
それはもう、試運転を無事に終え、製造したものが出来た瞬間です。この化学プラントで作っているものはテレビCMで知っているような商品も多かったですし、小売店の棚に商品が並んでいるのを見ると、いまでもプロジェクトのことが脳裏をよぎります。
プロジェクト5プロジェクト5

日清エンジニアリングの魅力、今後の目標

このプロジェクトや普段の仕事を通じて感じた日清エンジニアリングの魅力は何ですか?
冒頭でもありましたが、幅広い技術の修得とスキルアップができる会社ということです。それを可能にしているのは、お客様や各メーカーとの良好な繋がりですね。本物の知識を得るには、やはり現場で学ぶことが一番。それにはメーカーのスペシャリストの方々やお客様と日々一緒に仕事をさせてもらって、一緒に考えどんどん知識やノウハウを吸収することです。日清エンジニアリングは、その関係性がとても良く築けていると思います。また、これらを少人数で行いますので、いろいろな最新技術を幅広く習得できます。
最後に、今後のプロジェクトの行方や個人の目標などを聞かせてください。
今後の目標の一つは、人材育成の更なる推進です。新入社員も多く入ってきていますので、知見や技術をしっかりと伝承し共有化していきたいです。それが、最終的には日清エンジニアリング全体の今後の更なるレベルアップに繋がりますし、会社も人材育成にとても力を入れています。そして、もう一つは化学プラント関係に関する法規をもっと勉強したいです。ますます自分の守備範囲を広げて、会社の発展に繋げていけたらいいなと思います。
プロジェクト5