新型コロナウイルスの感染状況が拡大と収束を繰り返す中、国内外において私たちの事業を取り巻く社会環境や生活環境は大きく変化しています。こうした中、当社グループは、10年後、20年後の社会全体の構造変化を見据えた長期ビジョン「NNI "Compass for the Future"」により、“未来に向かって、「健康」を支え「食のインフラ」を担うグローバル展開企業”を目指しており、その実現に向けて、今まさにニュー・ニッシン・イノベーション活動を推進しています。特に、国内の人口減少を鑑みた海外での事業展開には、成長のエンジンとして大きな力を注いでいます。製粉事業では小麦の産地である米国に5工場、カナダに2工場を有しており、さらに、2019年4月には豪州最大の製粉会社を買収するなどして、海外における小麦粉生産能力は国内を上回る規模にまで拡大しました。また、食品事業ではパスタソースは良質な原料を誇るタイとベトナム、パスタは良質なデュラム小麦の産地である米国とトルコ、業務用プレミックスはお客様である冷凍食品メーカーの拠点が多い中国、タイ及びベトナムに拠点を設立しています。インドにおいても、伸長するパン市場においてイースト事業を展開すべく、新工場を建設中です。
また、メーカーの中長期戦略においては、技術革新による迅速なコストリーダーシップの確保やまだ充足されていない社会的ニーズを捉えた研究開発が益々重要になってきています。当社グループでは、研究開発部門が事業内・事業間・外部との「3つの連携」を推進し、グループ総合力を発揮することで、新規性・独自性があり付加価値の高い製品の研究開発に取り組んでいます。例えば、中食・惣菜の加工技術（廃棄量削減のための消費期限の延長等）、健康の維持・推進（小麦の成分を中心にメタボ予防効果、脳機能やアンチエイジングに関する効果等）、省人化・省力化技術（ＡＩ、ＩｏＴやロボット活用による惣菜の自動盛り付け装置や画像検査装置等）、非食品粉体の製造・分級技術（太陽電池や二次電池の材料、光触媒等、最先端分野や環境分野向けの独自のナノ粒子作製技術、粉体の分級技術等）などがあります。
このようにグループ全体のグローバル戦略、研究開発戦略の策定や推進もまた、グループ本社が担う重要な役割です。